淡路ヶ峠
2021年2月、淡路ヶ峠の登山マップを桑原まちづくり応援団（監修・淡路ヶ峠遊歩道整備管理協議会）が制作しました。
『淡路ヶ峠と伊藤博文公』
松山市桑原地区の東に位置する標高273ｍの淡路ヶ峠は、東方に金毘羅街道、四国の霊峰「石鎚山」、南に土佐街道、久万山、南西には大洲街道、伊予地区、西方はるかに瀬戸内海の島々、北には高縄連山が展望され、眼下には松山城を中心とした県都松山が一望できます。また、平成９年春、山頂に四阿と展望デッキが整備されて、素晴らしい景観を楽しむことができるようになりました。
この山頂には、450年ほど昔の天正年間(1573～1587年）、道後湯築城城主・河野通直の家臣であった林淡路守通起が守っていた砦がありました。（淡路ヶ峠の由来と言われています。）
天正13年に始まる豊臣秀吉の四国侵攻による小早川隆景との戦いに敗れた河野通直は、天正15年有馬温泉（兵庫県）、そして芸州（広島県）へと隠れ住みますが、河野氏につき従った約50人の家臣の中に林通起もいました。その後、通起は周防（山口県）に移り住みますが、通起から数えて11代目の子孫に明治の元勲・伊藤博文（初代内閣総理大臣、通算4回歴任）がいます。
明治42年(1909年)３月、時の韓国統監府統監として松山を訪れた伊藤博文は、道後からはるばる桑原の方を指さし、淡路ヶ峠を仰ぎ見て合掌したとのこと。このことは、道後公園歓迎会の演説で「予の祖先は当国より出でたる者にて、…林淡路守通起と称し、予は…周防に移りたる通起の死後230年に出生したるものなり。云々」そして、翌年には通起のために300回忌を営みたいと述べていましたが、明治43年10月ロシアとの交渉のため訪れていた中国ハルピン駅で安重根に暗殺され、その願いは叶いませんでした。
参考：桑原郷土誌「ふるさとの史跡をたずねて」
『クワバラ クワバラ』
松山市桑原町にある桑原寺には、むかし、大きな笠松があってなあ。いつごろのことかは知らんが、この大けな松に雷が落ちたんよ。その時の寺の住職は豪傑じゃったもんで、この雷を鉢でふせて生け捕りにしてしもた。困ってしもた雷は、「二度と桑原へは落ちんけん。」とかたく約束して、やっと逃がしてもろたんと。それから後、桑原に雷が落ちたという話は聞かんし、それどころか、日本じゅうの人が雷がゴロゴロいうたんびに「クワバラ クワバラ」いうて、おまじないしよろうがね。
※桑原寺（宗賢寺：桑原６丁目） 『松山のむかし話』（市教委）